広汎性発達障害
広汎性発達障害とは、自閉症、アスペルガー症候群、レット障害、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害をふくむ総称です。
自閉症の人々の状態像は、年齢や知的障害(精神遅滞)の有無、症状の程度などによって非常に多様です。
幼児期では「目が合わない」「他の子に関心がない」「言葉が遅い」などで気づかれることが多く、「一人遊びが多い」「指さしをしない」「人のまねをしない」「名前を呼んでも振り向かない」「表情が乏しい」「落ち着きがない」「かんしゃくが強い」などもよく見られます。
自閉症の人々の半数以上は知的障害を伴い、症状が重い人では合併が多くなります。残りの約3割は知能には遅れがない、高機能自閉症と呼ばれる人々です。言語を獲得して一部では学業成績が良い場合もありますが、人との会話は苦手です。児童期・青年期には注意欠陥/多動性障害(AD/HD)、学習障害(LD)、てんかんを合併しやすいことが知られています。
注意欠陥多動性障害(ADHD)
注意持続の欠如もしくは、その子どもの年齢や発達レベルに見合わない多動性や衝動性、あるいはその両方が特徴です。この3つの症状は通常7歳以前にあらわれます。
(1) 多動性(おしゃべりが止まらなかったり、待つことが苦手でうろうろしてしまったりする)
(2) 注意力散漫(うっかりして同じ間違いを繰り返してしてしまうことがある)
(3) 衝動性(約束や決まり事を守れないことや、せっかちでいらいらしてしまうことがよくある)
1.「不注意(活動に集中できない・気が散りやすい・物をなくしやすい・順序だてて活動に取り組めないなど)」 「多動-衝動性(じっとしていられない・静かに遊べない・待つことが苦手で他人のじゃまをしてしまうなど)」 が同程度の年齢の発達水準に比べてより頻繁に強く認められること
2.症状のいくつかが7歳以前より認められること
3.2つ以上の状況において(家庭・学校など)障害となっていること
4.発達に応じた対人関係や学業的・職業的な機能が障害されていること
5.広汎性発達障害や統合失調症など他の発達障害・精神障害による不注意・多動-衝動性ではないこと
学習障害(LD)
全般的な知的発達に遅れはないのに、読む、書く、計算するなどの特定の能力を学んだり、おこなったりすることに著しい困難がある状態をいいます。
読み書き能力や計算力など算数機能に関する特異的な発達障害のひとつです。
ディスレクシア
小児期に生じる特異的な読み書き障害は発達性ディスレクシアとして知られ、知的な遅れや視聴覚障害がなく充分な教育歴と本人の努力があるにもかかわらず、知的能力から期待される読字能力を獲得することに困難がある状態と定義されます。なお読み能力だけでなく書字能力も通常劣っています。
1.文字を一つ一つ拾って読むという逐次読みをする2.単語あるいは文節の途中で区切って読む3.読んでいるところを確認するように指で押さえながら読む(これらは音読の遅延、文の意味理解不良につながる)4.文字間や単語間が広い場合は読めるが、狭いと読み誤りが増えて行を取り違える5.音読不能な文字を読み飛ばす6.文末などを適当に変えて読んでしまう適当読み7.音読みしかできない、あるいは訓読みしかできない8.拗音「ょ」促音「っ」など、特殊音節の書き間違えや抜かし9.助詞「は」を「わ」と書くなどの同じ音の書字誤り10.形態的に類似した文字「め・ぬ」等の書字誤りを示す